顧客満足度調査の対象者の無作為抽出は危険
ある銀行での顧客満足度調査の事例をご紹介しましょう。
「調査での主たる結論は店舗での長い行列に顧客が不満を抱いているという点だった。そこで調査チームはスタッフの増員を提案した。(中略)しかし、大口顧客は店舗に足を運ぶことは稀であり、その問題には全く無関心だった。」(ハーバードビジネススクールプレス 顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 出版:武田ランダムハウスジャパン より)
もちろん「行列の解消」も重要なことですが、それがどれだけ経営的な効果に結びつくのかという視点がこの顧客調査には欠落しています。この事例は無作為抽出したお客様に対し調査を行う問題を端的に表しています。私たちは何も学術的な分析がしたいわけではないのであり、恣意的な抽出も時として有効であることを理解しておく必要があります。
ちなみに当社が実施する顧客視点調査では、調査対象として、貴社の将来に大きな影響を与えうる重要顧客(あるいは、将来もお付き合いしたい大切なお客様)の中から選定して頂きます。そしてそのお客様の声に真摯にお応えすることが、企業の強化に直結することは言うまでもありません。
また、もちろんその選定条件や定義をどのようにするかというところから決めていくことが重要であり、そのようなステップを踏んで社内で調査対象を選んでいくことも、とても大切なことです。