1)プレスリリースの効果

 いろいろな顧客開拓の営業手法の中でも飛び道具的に大きな威力を発揮してくれるのが、このプレスリリースです。プレスリリースとは、いわゆる新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどに記事として取り上げられることを狙って自社の商品や技術の情報配信をすることです。もちろんプレスリリースを配信したところで必ずしも掲載される保証はありませんし、どのような形で掲載されるかもわからないという不安もあります。しかし逆に言えば、報道機関という客観的な視点で記事化されるので、広告宣伝とは異なり情報の受け手側への信頼性が高くなるという効果が期待できます。そしてどんな企業でも記事として取り上げられる可能性はありますので、ぜひプレスリリースについても積極的に行って頂きたいと思います。

 さてプレスリリースの効果については今さら詳しく言わなくても想像がつくと思います。私の身近な企業でも、全く無名の段階からプレスリリースを仕掛けて大きく成長し、おそらく名前を出せば皆さんも知っているくらいに有名になっているところもあります。その間、彼らは基本的に1円も広告宣伝にお金をかけていません。

 また当社も自らが手掛けるプロジェクトなどで、NHKや地上波TV、大手新聞、YAHOOニュースなどで大きく取り上げて頂くなど実践での成果をあげておりますので、具体的なコンサルティングを行わせて頂いております。


2)記事掲載されるためのコツ

 次に記事掲載されるためのコツを3点ご紹介したいと思います。

2-1)記事の書き方

 もちろんノーベル賞ものの発明や発見があれば黙っていても取材に来てもらえるでしょう。しかしそこまでのニュースではなくても、打ち出し方を工夫すれば記事にしてもらえる可能は十分あります。これに関しては「強み」を見つける作業に近いかもしれません。自社がやっていることを第三者的に見た場合に価値があるように表現できるかどうかがポイントとなります。

 記事になるためにまず私たちがやらなければならないのは、報道機関向けにプレスリリースの原稿を送ることです。これもあまり長いと読んでもらえないので基本はA4一枚に収めたほうがよいでしょう。

そして記事として取り上げられやすい原稿を書くためのポイントは次の3つです。

・社会性

・物語性

・タイミング

 まず「社会性」とは、社会的にみてその情報がどれほどの価値があるかということです。単なる自社の宣伝でしかないようなものであれば取り上げてもらえないのは当然です。とはいえあなたの会社の商品や技術も必ず何らかの社会的なテーマに関連しているはずですので、その関連性を明確にして記事を書いたほうがよいということです。たとえばNHKのまちかど情報室やテレビ東京系列のトレンドたまごなどのコーナーにおける商品やサービスの紹介は、見ようによっては宣伝にも見えるかもしれません。しかし決定的な違いは、そこで紹介しているものには必ず社会性があることです。あなたの会社の商品や技術も、少しだけそのようなスパイスを加えるだけで、社会性のあるものだときちんと説明できるはずですので、そのような番組に取り上げてもらうこともあながち不可能なことはないのです。

 さて次のポイントである「物語性」とは、それが思わず人に伝えたくなるような話であること、あるいは気持ちが動かされる(情動に働きかけるような)内容であることが望ましいということです。これについてはメーカーだと少し難しい面もありますが、たとえば「自分の知人をある事故で亡くし、同じ事故が二度と起きないようにとこういう安全装置を開発しました」といったような物語があればそれを加えるというのも一つの方法かもしれません。

 3つ目の「タイミング」については、記者も常に記事にできそうなネタを探しています。彼らがまさに今関心のあるホットなテーマに合致するように情報を配信できれば取り上げてもらえる可能性が高くなります。常套手段としては、「○○週間」とか「○○の日」にちなんだ話題作りでしょうか。あるいはたまたま何か大きなニュースや事件があった時に、その対策や予防に貢献できるようなものであれば取り上げてもらえる可能性が高くなります。また普段からそういったことを意識してWEBサイトに記事を書きこんでいると、彼らが検索して取材申し込みが舞い込んでくるといったこともあります。

2-2)どの媒体をターゲットとしてプレスリリースすべきか

 新聞の全国紙やテレビのキー局に取り上げられるとそれはそれで嬉しいのですが、私たち製造業の場合は、むしろ特定の専門誌に掲載されるほうが実務的な効果があることもよくあることです。要は、対象顧客の目に効果的に触れやすい媒体は何かということです。その媒体はそれぞれの企業で異なってきますので、みなさんで調べてみてください。

 また記事を配信する際には、編集部御中とか社会部御中などで出しても構いません。それでも実際に取材をして頂くことは十分可能です。ただし確率を上げるには、できれば記者などの個人名を特定してその方宛に送るほうが原稿を読んでもらえる確率が高まるのは言うまでもありません。記者に知り合いがいないという場合は、まずは身近な知り合いの企業などですでに記事になったことがあるところを探し、その時の記者を紹介してもらうという手もあります。媒体に取り上げられるのが得意な会社を知っているならば、いろいろと教えてもらうと良いと思います。

また配信を代行してくれる業者もありますので、それらを使うのも一手かもしれません。

2-3)配信の頻度

 最初のうちは原稿を送ってもなかなか反応がないかもしれません。その時にすぐにあきらめてしまうのではなく、常にニュースにできることはないかと探しながらプレスリリースを続けてください。できれば年に数回は発信するようにしてください。そして徐々に原稿の書き方や、配信のタイミングの計り方、あるいは配信先のリストを増やしていきながら経験値を高めて頂ければと思います。

 またプレスリリースした内容は原則としてWEBサイトにも掲載して蓄積していき、プレス側が検索したときにヒットするようにしておいて下さい。もちろん彼らも情報収集の重要な手段としてインターネットを使っているので、これは必須の対策となります。

 最後にひとつ、なかなか掲載されないという場合は同じようなテーマで組めそうな他社と協力して原稿を作るという手もあります。というのも記者が記事を書く場合に、あるテーマに沿っていくつかの情報を紹介するという形式の記事を書くことも少なくないからです。その場合に、他社とともに複数の情報をあらかじめ載せておくことで記者が完成記事のイメージがしやすくなるとともに、自分でネタを探し回る手間を省いてあげることになるわけです。

 ニュースリリースの書き方についてはいろいろな書籍が出版されているので、そうしたものを読んで頂くと本書では省いているような基礎的な知識も学んで頂けると思いますのでぜひ参考にしてみてください。プレスリリースはうまく採用されればその情報拡散効果は極めて大きなものとなります。まさにすごい飛び道具なのですが、採用されるためには、ともかく出し続けることが成功のための大事なポイントだと言えます。