持続的発展のためのシステム化
仕組みが先か、人が先か。どちらが正解ということではありませんが、多くの日本企業の場合、その人が辞めてしまうと(あるいは病気で突然休職)、仕事が回らなくなる、いわゆる属人的な組織の企業が多く見られます。とりわけ営業に関しては、その傾向が顕著であると感じます。
やはり重要なことは、個人に埋没させるのではなく、会社としてシステム化しなければ、会社としてのレベルアップを図ることはできません。製造方法の標準化を進めるのと同じように、営業方法についても仕組み化をすべきです。
しかし営業の仕組みというと、営業トークとか、そういう細かい事に意識が向く傾向がありますが、もっと大きな部分からの考え直さないと効果がなかなか出ません。
当社が考える営業の仕組み作り(システム化)として最も重要と考えるのは、営業の構造的な部分から組み替えていくということです。
それはたとえば、「どこから攻めるか(どこをせめるか)」「そのための営業工程をどう組み立てるのか」などといったことになります。
具体的には、あなたの会社に適した仕組み作りをオリジナルで行っていくことになりますが、以下、基本的に重要な考え方についてお話しさせて頂くこととします。
まずは営業活動の構造的理解から
営業についてまず知っておいて頂きたい大事なことがあります。それは営業の構造的理解です。ここを理解しているかどうかで、あなたの会社の営業体制作りにおいて、特に効果的に新規開拓を進められる組織にできるかどうかにおいて大きな違いが出てきます。
ところでこれまで新規開拓力が強い中小製造業にはあまり出会ったことがありません。よく聞かれる状況は、営業マンがいても既存顧客への対応に時間がとられてしまい、新規開拓にまでなかなかエネルギーを割けないといったものでしょうか。しかし新規開拓に十分に力を注げていなかったことに関しては、それが問題である!とことさら指摘するつもりはありません。むしろ、それは当たり前の状態であり、仕方がないことだと考えています。
ではなぜこれまで私たちはなかなか新規開拓に力を注ぐことができなかったかというと、当たり前ですが新規開拓営業とは本来的に非常に効率が悪い活動だからです。だから新規開拓のために人員を割こうとしても、効率が悪すぎてその費用に見合った効果がなかなか得られません。あるいは広告を出してみても思ったような反応がない・・・という話も至るところで聞きます。あまりにも効率が悪いので、既存顧客との商売で飯が食えているうちは無理にそこに踏み込まないでいるというのは、ある意味合理的な判断であるともいえるわけです。とはいえ、もはやそんな悠長なことを言っていられる状態でないはずです。
では効率の悪い新規開拓に取り掛かれるようにするにはどうしたらよいのでしょうか。ここで営業の構造的理解が大事になってきます。
まず営業活動を2段階に分けて考えてみてください。引き合い案件が生じる前後で営業工程を2分割するイメージです。
・アピール活動段階:ゼロから新規で引合い案件を作り出すところまで(新規開拓の起点)
・個別商談段階:その引合い案件について個別に商談して受注に至るまで
これを図で示すと以下のようになります。
引合い案件を生み出すまでとその後では、営業活動の「質」が違うのです。営業としてやるべきことが大きく異なるために、「引き合い案件発生の前後」で分けているわけです。
どういうことかと言いますと、まず後半の案件を受注するための個別商談の段階は、特に製造業においては人がいろいろと動く必要があります。たとえば仕様の詰め、試作でのやり取り、工場監査等々・・・。ですからこの個別商談段階においては人が介在して対応しなくてはならないのは今後も基本的には変わらないだろうと思われます。そして引合案件(相見積などは除く)の受注確率は高いところでは5割、そうでなくても2~3割は取れるという会社が多いのではないでしょうか。それくらいの確率で受注できる見込みがあれば個別の案件に対して営業マンが張り付いても経費的に見合うわけです。そして景気の良い時代であれば、お得意様を回ったり、向こうからやってくる引合いにしっかり対応していけば非常に効率の良い営業活動ができていたわけです。
しかし待っているだけにはいかないとその前段階である、アピール活動をやろうとすると、営業効率が一気に悪化します。ローラー的に100社を営業マンに回らせたとして今の時代、いったいどれだけ新規顧客が開拓できるでしょうか。投入した時間に対するリターンは比較にならないほど悪いですし、実績が上がらないので営業マンもなかなかやりたがりません。また経営的にみれば、そうした部分に高い人件費をかけて営業マンを投入しても費用対効果がなかなか得られにくいということでもあります。つまり、引合いを作り出すための営業活動(アピール活動)は、個別商談とは質的に異なるものであり、それと同じように営業マンを動かしてはならないということです。
ではその新規のアピール活動を、営業マンをできるだけ使わずに効果的に行うにはどうすればよいでしょうか。
それは以下のような手法を組み合わせて用いていくしかありません。
つまりアピール活動は、営業マンによる営業活動だけに依存するのではなく、それ以外の様々な手段を効果的に組み合わせて仕掛けていくべきということです。とりわけ私たち中小製造業にとってとてもありがたいことは「すごい営業ツール」が格安で手に入るようになったことです。その中心にあるのが、IT、つまりインフォメーションテクノロジーです。10年前と比べて劇的な環境変化が起こっていると言っても過言ではないでしょう。
そしてこの変化に気づき、それらを最大限利用して顧客開拓で成果を挙げる仕組みを作ること。これが今、私たち中小製造業が積極的にチャレンジすべきことなのです。ちなみにITの武器とは、ホームページ、ECサイト(インターネットでの通信販売)、手紙の郵送や展示会の事前告知(これらは顧客情報のデータベース化が前提)、Eメール配信などのことです。しかも素人でも扱えるようなツールがたくさん出てきているのでITの専門的な知識や人材がいない中小企業でも、それらを手軽に扱えるようになりました。そしてこれらをうまく使いこなすことで、従来の営業マンによる営業活動だけではなかなか難しかった一部上場企業、さらには世界中からも案件が抽出できる時代になったのです。
実はこの営業工程の分解方法は、私の師でもある森口茂氏の著書「営業を営業にまかせるな―営業超改造プログラム」(ダイヤモンド社刊)に初めて紹介された考え方であり、理系出身の森口氏らしいロジカルで的を射たもので、その考え方を踏襲させて頂いています。とはいえ一昔前までは、あまり営業マンを使わない顧客開拓のための営業の仕組み作りは、やりたくてもコストがかかるためになかなか難しかったのです。私は20年以上この仕事を続けている中で、中小企業にもようやく手軽にアピール活動ができる時代が到来したことを本当にありがたく思いますし、このチャンスを使わない手はないと強く感じています。
さて話を営業構造に戻しますが、営業活動とは、そのすべてを営業マンがやる必要はないということです。未だに「営業=営業マンの仕事」と考えている会社が圧倒的に多いと思いますが、アピール活動段階の主役はITであって営業マンではないとも言えます。実際にある中小製造業では、このアピール活動段階に営業マンはほとんど関与していません。社長とアシスタントの女性だけでほぼ切り盛りしていますが、それでも十分な新規案件を獲得できています。(蛇足ですが、だからといって営業マンが不要になるわけではありません。受注を決めるためにはこれからも営業マンの存在は不可欠です)
以上この項目で申し上げたことをまとめてみますと、
・まず営業活動として人が動くべき部分と、それ以外を明確に意識して区切ってみる。
・それ以外とは、個別商談よりも前の段階。新規の案件を引き出すためのアピール活動。
・そしてその段階には、格安で誰でも使えるようになったITの技術を取り入れること。
・するともはや、営業マンに新規開拓に動けと言わなくても済むようになる。
このようにまず、営業活動を2分割して考えてみることで、これからの中小製造業が顧客開拓のために何をやるべきかが見えてくるのではないでしょうか。
営業は川上から攻めろ
常に川上から攻める。これは営業の鉄則です。自社の営業工程を見直す際に、このことがきちんと行動レベルで反映されるようになっているかどうかをチェックしなければなりまん。とりわけ新規に顧客開拓するためには、この鉄則を本気で実行することが求められます。成果の出ない営業マンほど、「とりあえず、行きやすいところから行く。会ってくれそうなところから会いに行く」という行動を繰り返しており、キーパーソンにはなかなかたどり着けていないものです。
ちなみに〝川上〟が意味するところは、まずは顧客内のキーパーソンのことです。キーパーソンとは「決定権者」のことであり、いわゆるキーマンのことです。中小企業のキーパーソンと言えば一般的には社長でしょうか。一部上場企業ともなると社長は現場のことにあまりタッチしていない場合もあるので購買決定権を持っているキーパーソンは、工場長や役員クラスあるいは担当者クラスの方になる場合もあります。
いずれにせよ決定権のある方に直接アプローチしたほうが話は早いわけですが、しかし多くの営業マンは上述したように、なぜか「行きやすいところ」「会ってくれやすいところ」から営業を始めようとしようとします。そしてそこから一段ずつ階段を上がるようにして商談を進めていこうとします。製造業の場合によくあるのが、まずは購買部門の担当者クラスに会いに行くというやり方でしょうか。
確かにそのやり方だと最初に会ってもらえる確率は高まります。しかし話がある程度先に進んだとしてもなかなか最後まで辿りつかず、途中のどこかで止まってしまう可能性が高くなります。私はクライアントの営業会議に参加することもありますが、見込み度Aの案件としてあがっているものの「お客様が検討中で回答待ち」などの理由で何か月も停滞している案件をたくさん見かけます。そしてたいていの場合そうなっているそもそもの原因は、キーパーソンに会えていないことだったりするのです。
ところでなぜ営業は川上から攻めるべきなのでしょうか。当たり前のことのようですが、この質問を実際に営業マンに投げかけてみると意外としっかりとした答えを言えないことも少なくないので、ここで改めてその理由についてお話しておきたいと思います。
まずキーパーソンは決定権を持っており意思決定のスピードが速い。これが一番の理由でしょう。さらに言うと、キーパーソンは高い問題意識を持ち、物事を高所から見ようとする傾向があり、常にアンテナを張っています。情報に対する感度が違います。あるいは現状を変える改革に貪欲でもあります。意外に思われるかもしれませんが、実は担当者クラスのほうが保守的だったりします。
また新規開拓でアプローチする場合、キーパーソンは名前が特定しやすいことも挙げられます。相手が代表者や役員であれば、インターネットなどから比較的容易に名前などの情報が入手できます。手紙を出す場合に特定の人物宛でない「御中」などで出しても開封率が極端に下がってしまいますから、それを避けられるというメリットも大きいわけです。
さらに言えば、多くの営業マンが川下から攻めているということは、キーパーソンに対してはライバルがあまり攻めていないということであり、実は競争が少ないということも大きな理由のひとつです。
このようなキーパーソンの特性と、それ以外の特性を比較してまとめると次のようになります。
本物のキーパーソンの特性
1)決定権を持っている
2)名前が特定しやすい
3)情報感度が違う。問題意識が違う。
4)本質を見極めるチカラがある。
5)仕事のスピード(レスポンス)が違う。
6)そもそも仕事に対する取り組み方、熱心さが違う。
7)継続的な関係を構築しやすい。異動も少ない。
8)ライバルが少ない
担当者クラスの一般的特性
1)決定権がない。社内影響力が薄い。
2)単なる情報集め。
3)的外れ(企業全体の優先順位を理解していない)
4)視野が狭い。
5)すぐ「実績は?」「前例は?」と聞きかがる。
6)現状を変えたくない。保守的。
7)失敗した際のリスクを恐れる。
8)そもそも、人に言われて仕事をしていることが多い(自分の意志でない。ブレる)
一言でいえば、あなたは、どちらの人と仕事をしたいですか? ということです。
ちなみにさきほど「本物のキーパーソン」と書いた理由は、中には役職はキーパーソンの地位にいるものの、その中身が伴っていない方もいるからです。どこの会社かまでは申しませんが、たまに大企業でもそういう社長がいたりします。つまりキーパーソンとしての本来あるべき特性を備えた、〝本物〟のキーパーソンが誰であるのかの見極めも大事なことなのです。
ではそのキーパーソンに対して、私たちはどのようにアプローチすればよいのでしょうか。実はそこに裏ワザなどはありません。相手がキーパーソンだからこそ正攻法が良いのです。ある有名企業の社長さんが私にこんな話をして下さったことがあります。「自分宛にかかってくる電話はできるだけ出るようにしている」と。忙しい方なのにと驚いてその理由を聞いてみると「私に名指しで電話をかけてくるということは、それなりの覚悟と情報があるからでしょう。だから出てみるんですよ。その判断は秘書にはできませんから」と話して下さいました。この方は日頃からこのようにアンテナを張り、仕事をされているのです。このような方に対しては、電話なり手紙なりでこちらが真摯に要件をお伝えすれば、わかって下さるのです。
ただしその代りキーパーソンは結論を出すのが早いですから、役に立たないと判断されたら瞬時にそこで終わりです。それが怖いから徐々に川下から攻めるということもあるのでしょうが、そのような中途半端な覚悟で〝とりあえず〟で動くから結果が出ないのです。
またキーパーソンは多忙ですからなかなかつかまらないで苦労することもよくあります。その場合、朝早く始業時間前に電話をかけてみるというのも一つのやり方かもしれません。仕事に対する取り組み方が違いますから、朝早くから出社されている経営者は少なからずいます。早朝に電話をするなど非常識であり、相手に怒られるかもと考えてしまうのはキーパーソンの思考を理解していない証拠です。あなたが礼を尽くして電話をすれば、こんな時間から仕事をしている仲間として認めて下さったり、意外にもけっこう面白がってもらえるものです。そのような彼らなりの思考を理解することも大事なことです。
ところで川上から攻めろというのには、もう一つの意味があります。それは、その〝業界のトップ企業〟から落とせというものです。トップ企業とは単に売上高だけの問題ではなく、その業界で一目置かれている存在であり、業界に影響力がある企業を指します。そしてそこに採用されるとその業界内で評判になり、「あそこが採用しているなら」と波及効果が期待できる会社のことです。
でもやはり多くの営業マンの発想は、「まずは手近なところから始めよう」なのです。その場合の発想転換を促す質問は、「どこに採用されたら、テンションが上がる?」です。たとえば日用品であれば東急ハンズやロフトかもしれません。あるいは自動車業界ならどこか。医療関連ならどの病院かと考えるわけです。そういうトップ企業はハードルが高いとつい尻込しがちですが、全く逆なのです。業界のトップ企業というものは、常に新しいことにチャレンジしており、アンテナを敏感に張っているものです。むしろ他で扱っていない実績のないものを喜んでくれることもあります。だからこそ彼らはトップランナーなのです。そして首尾よくそのような影響力のある企業や店舗で扱って頂けたとすれば、言うまでもなく後の営業は非常にやりやすくなります。雑誌やメディアなどの目に留まる可能性も高まります。
ところで日本国内ではなかなかそうした流れが作れない場合は、海外で先に売ってみるという手もあります。日本人は海外で評判になっているものに対しては何故か興味をそそられるのでこれも一つのバリエーションになります。
ともあれ、以上の考え方を反映させて、改めてそれを行動レベルに反映できるように、営業工程を作り直す必要があるわけです。たとえば細かいことで言えば、最初にとっかかり電話をする際の営業トークとして、「ご担当者様をお願いします」と言わせるのか、「責任者の方をお願いします」と言わせるのか。たったこれだけのことでも、結果が大きく変わってくるのは言うまでないことです。
直接取引ありき
直接取引(あるいは、現状の取引先よりも、川上に位置する顧客企業との取引)。これも今の中小製造業にとって極めて重要なキーワードです。エンドの顧客(あなたの会社の技術や製品を直接的に必要としている企業)とは原則として直接取引することを目指すべきです。それは相手が上場企業であろうが、海外の企業であろうが同じことです。もっとも顧客側の指示や依頼で商社等を経由せざるを得ないケースもありますが、そうした場合でも技術的なやり取りだけは直接最終顧客とできるようにしておくことを大前提とすべきです。
しかしながらいわゆる「下請仕事」でずっとやってきた中小製造業においては、これまでの商習慣もあり、現にお世話になっている商社や元請企業などもあり、「直接取引をやりたいのはやまやまですが、そんなことはできません」というところが少なくありません。実際、直接取引が出来ない理由を挙げればきりがありません。
もちろん商道徳に反してまで直接取引せよと言っているのではありません。まずは新しい顧客との取引において、それを実践して頂きたいのです。その場合、これまで仕事を出してくれていた商社と競合関係になることもありえます。もちろん慎重に事を運ぶ必要がありますが、私がこれまでかかわってきた企業においては、既存商社ともうまく折り合いをつけながら直接取引の道も拓いています。工夫をすれば、既存ルートと正面からケンカすることなく、なんとかやっていくことは可能だと私は考えています。
ところで言うまでもなく直接取引のメリットはたくさんあります。
まず、顧客のニーズがダイレクトに掴めること。これが最大のメリットではないでしょうか。顧客の技術者と直接話ができることで、これまでにないような生産的な話ができることが期待できます。やはりどうしても間が入ると伝言ゲーム化してしまい情報精度が落ちてしまいます。時間も余計にかかってしまいます。みなさんもそれでイライラされた経験をお持ちなのではないでしょうか。
もちろん良いことばかりではありません。クレームもダイレクトに入ってきます。中間の防波堤がなくなることで直接やり取りをしなければならなくなります。それによって大変な思いもすることになるでしょうが会社が鍛えられます。むしろ私は覚悟をもって生き抜くためには、そのほうが良いと考えています。また中小製造業においては、下手をすると今受注して流れている案件が、いったいどこに、何のために使われているのか、なぜこのスペックでなければならないのかが解っていないというケースもあります。それはとても怖いことではないでしょうか。またそういう仕事の仕方に慣れてしまっていると、高い収益を得ることは極めて難しくなると思います。
直接取引することでの次のメリットは、次の仕事を特命で発注してくれやすくなることです。直接やり取りをして意思疎通が出来ていると、次の案件についても声をかけて頂ける可能性が高まるのは当然のことです。もちろん、今やっている仕事でNGを出した場合は、次はありません。
そして直接取引をする最も分かりやすいメリットは、中間業者をなくすことでの利益率の向上でしょう。このメリットについては今さら詳しく説明する必要はないと思います。ところである中小メーカーにおいて、最終納品先との間に商社が4社も介在しているということがありました。これは海外拠点に輸出するケースでしたが、それにしても4社も間に入る合理的根拠はなかなか見つかるものではありません。もしも、この最終納品先の購買方針がもっとシビアに変更され(往々にして購買の責任者が交代すると起こりえます)、そのような商習慣やしがらみの無い取引を指向するようになったらどうなるでしょうか。しかも今や欧米のメーカーや現地ローカル企業も私たちの直接競合になり得る時代です。これまでの「業界内の棲み分け」など全く通用しなくなる可能性もあります。そうなると、これまで守られていた既存の商流は壊滅しかねません。つまり直接取引を指向する理由は、単に目先の利益率の向上というだけでなく、存在理由のない商社との共倒れを防ぐという意味もあるわけです。
ところで顧客の側から見た中小メーカーと直接取引するメリットは何でしょうか。私はモノヅクリンクネットという全国の中小メーカー団体のネットワーク(約800社が参加:2015年4月現在)にも専門家サポーターとして属していますが、最近では大企業から中小企業のほうに歩み寄ってきてさまざまな連携を模索しているケースが増えてきていることを実感しています。中小企業が持っている現場力、技術力は大企業からすればとても魅力あるものだと思います。以前のように大企業がいてその傘下に中小企業がいるという構図から少しずつ変化してきているのかもしれません。大企業とも対等なパートナーとして取り組むことが可能な時代になってきているのではないでしょうか。このようなチャンスをぜひとも活かしたいものです。
以上、直接取引というキーワードでお話してきました。直接取引にはメリットもあればデメリットもあります。場合によっては中間を介したほうが良いケースもあります。実際に私たちにとって有益であり、真摯な商売をされている商社もたくさんあります。しかしそんな取引関係ではなく非合理的な商習慣あるいは単なる既得権益の中で守られてぬくぬくしていると、あっという間にその商社もろとも市場から駆逐されてしまうかもしれません。
営業管理の仕組みも重要
ところで営業管理の仕組み作りも、営業工程の見直しと等しく重要なことです。当社では、営業日報、週報、数理管理すべき内容や方法などについても、必要であればあなたの会社に適したやり方を具体的に提案をさせて頂きます。
これらに共通する重要なキーワードは、「何があなたの会社の売り上げに直結することか?」という観点です。形式的な報告は時間の無駄にしかなりません。いろいろな企業で試行錯誤して削ぎ落としてきた、実利的な管理の在り方についてご提案をさせて頂きます。
(参考)コラム:営業日報の書き方
最後に
以上、ここでは、仕組み作りとして重要な「考え方」についてお話しさせて頂きました。その具体論については、各クライアントのかなり重要なノウハウが含まれるためにここでは例示すらできませんが、必要に応じて以下のようなかフォーマットなども用いながら、仕組み作りを一緒に進めさせていただきます。