Eメール配信

1)Eメール配信のメリット

先ほど手紙について書きましたが、Eメールはいわばその電子版と言えます。

ただしこちらについてはEメールアドレスが分かっていないと届けることができないので情報発信する相手は、展示会の項において述べたように普段の営業活動や展示会などで名刺交換をした見込み客となります。そして情報発信を続ける中でタイミングが合致したお客様が反応して下さることで案件が顕在化してくるわけです。したがってあなたの会社における新規顧客開拓の仕組み作りにおいても、WEBサイトや展示会、手紙と並んで、かなり重要な位置付けを占める営業手段としてEメール配信を使いこなして頂きたいと考えます。

そしてそのような顧客からの反応を得ようとすれば、やはりある程度の母集団が必要となりますので、前述のように最低でも2000件ほどの濃い見込み客のデータベースが蓄積されていることが望まれます。

さてここでまずEメールを顧客開拓手段として使うことのメリットをまとめてみます。主には次の5点が挙げられます。

1-1)異動に強い

大企業の場合は人事異動が比較的頻繁にあります。これは顧客管理上なかなか頭が痛いのですが、Eメールアドレスについては同じ会社にいる限りは基本的には変わることがないので異動に関係なく継続して情報を発信することができます。まずはこれが一番のメリットだと言えるでしょう。

1-2)相手にダイレクトに届く

会社によってはEメールも秘書などがチェックする場合もあるでしょうが、多くの場合は送信した相手の方自身がメールを開いてチェックしています。つまり郵送した手紙のように本人に届くまでの間に秘書などの関門が少ないということもEメールの大きなメリットの一つと言えます。

1-3)見込み客に情報配信するメインツールとなる

会社としてストックしている見込み客に対してなにがしかの情報配信をしようとした場合に、郵送によるダイレクトメールなどではどうしても事務作業の負担が大きくのしかかってきます。それに引き替えEメールは手軽に一斉送信できるというのも大きな魅力と言えるでしょう。

1-4)名刺情報の共有化が進む

あなたの会社では営業マンが名刺交換した名刺はどのように管理されているでしょうか。営業マンが各自の名刺ファイルにストックしているだけだったりしないでしょうか。せっかくの顧客情報が会社として十分に活かされずに営業マンの机で眠っているという会社が少なくありません。そこでEメールで情報配信することを名目とすることで、営業マンからの協力も得やすくなります。この機会をうまく利用して営業マン手持ちの名刺を出してもらって電子化し、情報共有を促進して下さい。

ちなみに名刺は営業マン個人のものではなく会社の共有財産です。そこを各自が履き違えないようにすることも重要なことです。

1-5)配信コストがかからない

Eメールであればたとえ1万件に送信したとしても基本的にはほとんどコストをかけずに相手に直接情報を届けることができます。これも郵送と比較すると大きな魅力といえます。なおメール配信ソフトはいろいろなものがあり、それぞれ機能や価格も異なりますので自社に合ったものを選んでください。


2)Eメール配信のコツ

「メールマガジンを定期的に配信しているものの、しかし思ったような反応が得られない」という声をよく聞きます。そこで重要となるのが、配信のやり方とその内容をどう工夫するかです。

まず基本的にわかっておかねばならないのは顧客がメールをチェックする時の心理状態です。今時、私たちの手元にはものすごい量のメールが届きます。こちらはここぞというお客様に配信しているつもりでいますが、受け手にとってはたくさん勝手に送りつけられてくるメールの中の一つに過ぎません。皆さんもメールをチェックする際には、要不要、優先順位などを素早く判断されているのではないでしょうか。そこで不要と判断されたら読んでもらえる可能性はほぼ消滅します。このように、そもそも読み手側の期待値は高くないという前提で、しかも読まずに捨てられないような工夫が大事だということです。

ではその前提に立ち、読まれる工夫について書いてみたいと思います。

・価値ある情報だけを届ける

そもそも多くの企業が定期的にメールマガジンを配信しようとします。もちろん定期配信することで忘れないでいてもらえるという効果も期待できます。ただしその前提として、毎回内容が充実しており情報価値が高くなければいけません。しかしたとえ月一回の配信だとしても、毎回インパクトのあるネタを書き続けるのはなかなか難しいのではないでしょうか。(WEBサイトに掲載するネタよりも、インパクトのあるネタを書かなければなりません。)もしも一度でも読みたくないと思われてしまったら、それ以降は読んでもらえなくなる懸念があります。そのようなリスクを考えると、定期配信に拘泥するよりも、むしろここぞという時にだけ配信できればよいのではないでしょうか。それがたとえ年に3回だけであっても構わないと思います。ともあれ定期配信することが目的化してしまい、価値の薄い情報を流し続けるような事態にだけはならないように気を付けてください。

・とにかく短く!

手紙の書き方と基本は同じです。むしろEメールのほうが情報伝達ツールとしては、もっと手短に要件を伝えるべきであり、さらに短いメッセージにする必要があります。

まず件名(メールのタイトル)の書き方についてですが、最長でも25文字程度までに抑えてください。メールソフトを開いたときの件名一覧表示において表示される文字数に収めることを意識するということです。もちろんキャッチとして重要な部分なので、誰にでも広く発信しようとするのではなく、できるだけ的を絞り具体的に書くことが求められます。

メールの本文については理想としては、メールを開いたときに画面を下にスクロールさせずに、一瞥しただけでこちらの伝えたい要件が読める程度に収めるようにすることです。そうするとせいぜい20行程度でしょうか。万一それを超える場合もできるだけ短く書くように心掛けてください。

その前提で考えると、冒頭に余計なことを書き連ねてしまっている会社が少なくありません。


3)Eメール配信による効果

あるメーカーがEメールで技術情報を発信した際の結果をご紹介します。

技術の詳細情報はWEBサイトをご覧下さいとリンクを張ってメールを約2500件配信した結果、約500件のWEBサイトの閲覧がありました。普通のメールマガジンですと、これだけの高い確率で閲覧されているというのはなかなかないかもしれません。(グラフはGoogleアナリティクスからとったリアルなデータなので目盛り部分の数字は表示しておりませんが、横軸が日数、縦軸が閲覧件数となっています)

この会社では情報を配信すると毎回これくらいの反応を得ており、もちろんそこから先の問い合わせや引合いの抽出にも繋がっています。なぜこれだけ反応が得られるのかについて、一般的なやり方と異なっている点を挙げるとすれば、先ほど述べた読まれる工夫をしっかりと実践していることでしょうか。もちろんこの会社もメールの定期配信はしておらず、何か有益な情報が出せるときにしかメールは送らないようにしています。定期配信しなくても実際にこのような反応が得られていることも参考にして頂ければと思います。

また別のクライアントにおいては、展示会の案内を約1000名のお客様にEメールで発信したところ、その中から事前商談予約を20件確保することができました。もちろん単なる来場の約束ではなく、商談の日時まで確定している商談の約束を20件確保できたということです。ちなみにこの会社ではこの仕組みを実施する以前は、これまで展示会では一件も事前に商談予約は入ることはありませんでした。

以上、顧客開拓のためのEメール配信の使い方についてお話を進めてきました。もちろんここで書いた以外のやり方もあるでしょうし、ぜひあなたの会社でもいろいろと配信のやり方を試行錯誤しながらノウハウを蓄積していって頂きたいと思います。