本章の最後に、当たり前のことを書くようですがとても大事なことをお話ししておきたいと思います。言いにくいのですが名前の通った大企業でも、お客様をダマすようなやり口をしていることがあります。結果さえ出れば何でもよいのかと言いたくなるようなことが、結構普通に行われていたりします。

私が憤りを感じたある書籍に登場する営業方法について紹介したいと思います。皆さんはこれを読んでどう感じますか。

「ある家庭用消耗品を販売する会社の事例です。試供品を詰め合わせたバッグを見込み客の家においてきます。一週間とか二週間とかの期間。その時はただ「置かせて下さい」というだけで、「買ってくれ」とは一切言いません。そして、そのバッグを引き取りに行った時に試供品を使っている人がいれば、(使っちゃったしなあ・・・)という気持ちも働き、かなりの確率で商品が売れるのです。」 (内容は筆者改編)

ちなみにここで利用されているのは「返報性」という顧客心理です。「返報性の原理」という心理学用語があります。人は他人から何らかの施しを受けると、そのお返しをしなければならないという感情を抱くことがありますが、このような心理のことをいいます。そして、『この「返報性の原理」を利用し、小さな貸しで大きな見返りを得る商業上の手法が広く利用されている。』(Wikipedia)といった記述も見受けられます。

これを読んでみなさんは、「おおっこれが心理学か!上手く使わなくては!」と思われるでしょうか。ここに書かれていることは、人の心理、とりわけ善良な人の心を上手く「利用」する、そういう商売のやり方です。形を変えた押し売りです。儲けることが先か、お客様のお役に立つことが先か、この優先順位が異なると実際の行動に大きな違いとなって表れてくるように感じます。商売の本質を逸脱してはいけません。もしもあなたの会社がどん詰まりの状況に陥っているのだとすれば、このような思考にどっぷりと浸かってしまっていないか、今一度、このような本質的なところまで立ち戻って意識を変える、スイッチを入れなおすことを考えて頂ければと思います。