ある営業マンが問い合わせを受けて初めて訪問したお客様の会社で、どうも商談がスムーズに行き過ぎると不思議に思ったそうです。すると実は、3年ほど前にその会社に送った商福徳の三年目サンプルを大事に保管して下さっており、その方の上司が「このメーカーのものがよさそうだから」と推奨してくれたのだそうです。しかもそのサンプルは一斉にダイレクトメールで送っただけのものでした。「自分たちでも忘れているようなそんな前のものを、よくぞ思い出して下さったものだ」とその会社では皆、驚いていました。以前やったことが、めぐり巡って3年も経ってからこのような形で結びついてきたわけですから。

 実はこういった話をいろいろなところで耳にします。ずいぶん前に配ったチラシを持ってお客様が訪ねてきてくれたりとか、何かあったら連絡しようとずっと思っていてようやく連絡ができましたとか、どうやらお客様の側に立って考えてみると時間軸というのものはもっと長く設定してよいのかもしれません。

 「福徳の三年目」という言葉があります。その意味は、「福徳の御利益は三年目にめぐってくるということから意外な幸運に出合うこと。」(大辞林)

 つまり神様にお願いごとをしても、すぐに効果を求めてはいけない。ご利益というものは、すぐではなくて忘れたくらい先にやってくるものだという意味です。

 結果を急ぎすぎる私たち現代人には、はっとさせられる言葉ではないでしょうか。そんな余裕など無く、何事にも即効性を求める気持ちは分かりますが、本来は企業の改革や人の成長なども、それくらいの時間軸で捉えていくべきなのでしょう。あまり事を急いてはいろいろなところに無理が来るものです。またどうしても短期的になると打ち手が小さくならざるを得なくなります。プロ野球の世界をみていると、弱い球団ほど「即戦力」を補強しようとする傾向が伺えます。すると場当たり的になり結果的にチーム強化がなかなか図れないという悪循環に陥ってしまうことになります。

そういえば「石の上にも3年」という言葉も最近あまり聞かなくなりました。世の中全体で大事な視点が失われてきているのかもしれません。今一度、この機会に皆さんも3年という時間軸の意味を考えてみてください。